創意工夫リファレンス

セーブ・ザ・キャット

作成: 2025/12/30 更新: 2025/12/30

概要

セーブ・ザ・キャット(Save the Cat!)は、ブレイク・スナイダーが提唱した、現代ハリウッド映画で最も成功している脚本構成メソッドです。「猫を救う」というタイトルは、「主人公が初登場するシーンで、猫を助けるような『観客が好感を持つ行動』をさせよ」という法則に由来します。厳密な15のビートシート(構成要素)が特徴です。

いつ使うか

  • エンターテインメント性の高い物語を作りたい時
  • ペース配分やタイミングを完璧に計算したい時
  • 商業的に成功する脚本の構造を学びたい時

説明

ブレイク・スナイダー・ビートシート(BS2)

物語(110分の映画を想定)を以下の15のビート(節目)で構成します。カッコ内はページ数(分)。

  1. オープニング・イメージ (1):物語のトーン、主人公の現在の姿(Before)。
  2. テーマの提示 (5):誰かが会話の中で物語のテーマ(主人公が学ぶべきこと)を語る。
  3. セットアップ (1-10):主人公の日常、現状の問題点(「救うべき猫」もここで)。
  4. きっかけ(Catalyst) (12):日常を壊す事件(=インサイティング・インシデント)。
  5. 悩み(Debate) (12-25):旅立つべきか?自分にできるのか?という葛藤。
  6. 第二幕への突入 (25):主人公が自分の意志で決断し、新しい世界へ。
  7. サブプロット (30):Bストーリー。恋愛や友情など、テーマを別の角度から描く話。
  8. お楽しみ(Fun and Games) (30-55):映画のジャンル特有の面白いシーン(予告編に使われる部分)。
  9. ミッドポイント (55):中間地点。偽りの勝利、あるいは偽りの敗北。緊張感が高まる。
  10. 迫り来る悪い奴ら (55-75):敵が本気を出す、仲間割れ、事態の悪化。
  11. 全てを失って (75):最悪の瞬間。死の気配。
  12. 心の暗闇 (75-85):絶望の中で自分を見つめ直し、テーマを理解する。
  13. 第三幕への突入 (85):解決策を見つけ、再び立ち上がる。
  14. フィナーレ (85-110):最後の戦い。学んだテーマを実践して勝利する。
  15. ファイナル・イメージ (110):変化した主人公の姿(After)。オープニングと対になる。

「猫を救う」法則

主人公は必ずしも善人である必要はありませんが、観客が応援したくなる人物でなければなりません。そのために、登場直後に「猫を木から下ろしてやる」ような、人間味や優しさを見せるシーンを入れます。

実施手順

  1. ログラインを書く

    • 皮肉な展開を含んだ、魅力的な一行あらすじを書きます。
  2. ビートシートを埋める

    • 15の項目を順番に埋めていきます。特に「ミッドポイント」と「全てを失って」の落差を意識します。
  3. ボードを使って構成する

    • カードを使ってシーンを並べ替え、全体の流れを調整します。

AI活用

AIにビートシートを作成させるプロンプトです。

プロンプト例

# 命令書
以下のアイデアを、ブレイク・スナイダーの「セーブ・ザ・キャット」のビートシート(15項目)に当てはめて構成してください。

# アイデア
[ここにアイデアを入力]

# 出力形式
1. オープニング・イメージ:
2. テーマの提示:
3. セットアップ:
...(以下15項目)

関連項目