概要
視点(Point of View / POV)は、物語を「誰の目(カメラ)」を通して語るかという設定です。視点の選び方によって、読者が得られる情報量、感情移入の度合い、物語の雰囲気が大きく変わります。
いつ使うか
- 物語の書き出しを決める時
- 読者とキャラクターの距離感を調整したい時
- ミステリーなどで情報を制限したい時
説明
主な視点の種類
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一人称視点(私、僕、俺)
- 主人公自身の語り。
- メリット: 感情移入しやすい。内面を深く描ける。
- デメリット: 主人公が見聞きしていないことは書けない。主人公の主観(偏り)が入る。
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三人称一元視点(彼、彼女 / 限定的)
- 「彼」「彼女」と書くが、カメラは特定のキャラクター(視点人物)に寄り添っている。
- 一人称に近い没入感がありつつ、客観的な描写もしやすい。現代小説で最も一般的。
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三人称全知視点(神の視点)
- 語り手は神様のように全てのキャラクターの内心や、過去・未来、遠くの出来事を知っている。
- メリット: 全体像を描ける。解説を入れられる。
- デメリット: 視点が定まらず、読者が誰に感情移入していいか迷いやすい。古臭い印象になることもある。
視点選びのポイント
- 誰の物語か?: 最も葛藤し、変化するキャラクターの視点が基本です。
- 情報のコントロール: 犯人の正体を隠したければ、探偵の視点(犯人の内心は見えない)を選びます。
- 視点のブレ(Head-Hopping)に注意: 1つのシーンの中で、Aの内心を書いた直後にBの内心を書くと、読者は混乱します。シーンの区切りまでは視点人物を固定するのが原則です。
使用例
視点による違い
一人称
僕は震える手でドアノブを回した。怖かった。中に何がいるか分からなかったからだ。
三人称一元
彼は震える手でドアノブを回した。心臓が早鐘を打っていた。中に何がいるのか? 想像するだけで足がすくんだ。
三人称全知
彼は恐怖に震えながらドアノブを回した。しかし彼が心配する必要はなかった。中には誰もいなかったのだから。
AI活用
AIに文章の視点を書き換えさせるプロンプトです。
プロンプト例
# 命令書
以下の文章は「一人称視点」で書かれています。これを「三人称視点(彼)」に書き換えてください。
# 文章
[ここに文章を入力]