概要
プロット設計(Plot Design)とは、物語の「因果関係のある筋書き」を構築することです。「王様が死に、次に王妃も死んだ」は単なるストーリーですが、「王様が死に、悲しみのあまり王妃も死んだ」はプロットです。出来事を論理的かつドラマチックに配置し、読者を惹きつける構造を作ります。
いつ使うか
- 執筆前に物語の骨格を固めたい時
- 物語の整合性をチェックしたい時
- 複数のエピソードを一本の線にまとめたい時
説明
プロットの要素
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因果関係(Causality)
- 「Aが起きたから、Bが起きた」というつながり。偶然に頼らず、必然性を持たせます。
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葛藤(Conflict)
- 主人公の目的を阻む障害。これがないと物語は動きません。
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変化(Change)
- 状況やキャラクターの内面の変化。
プロットの種類
- 基本プロット:中心となる物語の主軸。
- サブプロット:主軸とは別の、脇役や並行して進む小さな物語。テーマを補強する役割を持ちます。
実施手順(プロットの作り方)
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核となるアイデアを決める
- 「もし〜だったら?(What if?)」という問いから始めます。
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ログライン(一行あらすじ)を書く
- 物語全体を一文で要約します。
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主要なイベント(ビート)を配置する
- オープニング、きっかけ、中間点、クライマックス、結末を決めます。
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箱書き(シーンリスト)を作る
- 各シーンの内容をカードやリストに書き出し、順番を入れ替えて構成を練ります。
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因果関係を確認する
- 「そして」ではなく「だから」「しかし」でシーンがつながっているかチェックします。
よくある失敗と対処法
失敗:ご都合主義な展開
- 対処法:偶然による解決(デウス・エクス・マキナ)を避け、主人公の行動や事前に張った伏線によって解決させます。偶然を使っていいのは「主人公をトラブルに巻き込む時」だけです。
失敗:エピソードの羅列
- 対処法:シーン間のつながりを「A。そしてB。そしてC」ではなく「A。だからB。しかしC」という接続詞でつなげるか確認します(サウスパークの作者トレイ・パーカーの法則)。
使用例
プロットの改善例
改善前(ストーリー) 男が朝起きた。会社に行った。上司に怒られた。家に帰って寝た。
改善後(プロット) 男が朝起きた(オープニング)。遅刻しそうだったので慌てて家を出たが(きっかけ)、電車が遅延していた(障害)。だから会社に大幅に遅刻し、上司に激怒された(葛藤)。しかし、そのおかげで同僚の女性と残業することになり、仲良くなった(変化・結末)。
AI活用
AIにプロットの整合性をチェックさせたり、展開案を出させるプロンプトです。
プロンプト例
# 命令書
以下のプロット案を読み、因果関係が弱い部分や、論理的な矛盾点があれば指摘してください。また、よりドラマチックにするための改善案を1つ提案してください。
# プロット案
[ここにプロットを入力]