概要
キャラクターアーク(Character Arc / 成長曲線)とは、物語を通してキャラクターが経験する内面的な変化の軌跡のことです。物語開始時と終了時で、キャラクターがどのように変わったか(あるいは変わらなかったか)を描くことで、物語に深みと感動を与えます。
いつ使うか
- キャラクターに深みを持たせたい時
- 物語のテーマをキャラクターの変化で表現したい時
- 感情移入できるストーリーを作りたい時
説明
3つの基本的なアーク
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ポジティブ・アーク(成長)
- 最も一般的なアーク。主人公は「嘘(間違った思い込み)」を信じており、試練を通じて「真実」に気づき、欠点を克服して成長します。
- 例:『スパイダーマン』(未熟な少年 → 責任感あるヒーロー)
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フラット・アーク(不変)
- 主人公自身は最初から「真実」を知っており、内面的には大きく変化しません。その代わり、主人公が周囲の世界や他のキャラクターを変化させます。ヒーローものに多いです。
- 例:『シャーロック・ホームズ』、『スーパーマン』
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ネガティブ・アーク(堕落・悲劇)
- 主人公は「真実」を拒絶し、「嘘」に固執するか、より深い闇に落ちていきます。悲劇やアンチヒーローの物語です。
- 例:『ゴッドファーザー』のマイケル・コルレオーネ、『マクベス』
構成要素
キャラクターアークを作るには、以下の要素を設定します。
- ゴースト(過去の傷): キャラクターの性格や「嘘」を形成した過去の出来事。
- 嘘(The Lie): キャラクターが信じている誤った世界観や自己認識。
- 欠落(Want): キャラクターが物語の表面的に欲しがっているもの。
- 必要(Need): キャラクターが真に必要としているもの(内面的な成長)。
- 真実(The Truth): 物語のテーマ。「嘘」を打ち破る現実。
実施手順
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変化の始点と終点を決める
- スタート地点(嘘を信じている状態)と、ゴール地点(真実を知った状態)を決めます。
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「嘘」を設定する
- なぜ主人公は変われないのか?どんな思い込みが邪魔をしているのか?を設定します。
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試練を与える
- 「嘘」が通用しない状況や、「真実」に向き合わざるを得ない試練を与えます。
使用例
例:仕事人間が家族の大切さに気づく物語(ポジティブ・アーク)
- ゴースト: 幼少期に貧乏で苦労した。
- 嘘: 「金と地位こそが幸せの全てだ」
- Want: 社長になること、大きな契約をとること。
- Need: 家族との時間、無償の愛。
- 展開: 仕事で成功するが家族は離れていく。病気やトラブルで地位を失いかける(試練)。孤独の中で、本当に大切なのは金ではないと気づく(真実)。
- 結末: 出世のチャンスを捨てて、娘の発表会に行く。
AI活用
AIにキャラクターアークを設計させるプロンプトです。
プロンプト例
# 命令書
以下の主人公設定に基づき、ポジティブなキャラクターアーク(成長物語)を設計してください。
# 主人公
[ここに主人公の性格や設定を入力]
# 出力形式
- **嘘(The Lie)**: 最初になんという間違った思い込みを持っているか?
- **ゴースト(過去の傷)**: その思い込みの原因は?
- **欲求(Want)**: 物語の当初、何を求めているか?
- **必要(Need)**: 本当に必要な成長は何か?
- **変化のきっかけ**: どのようにして真実に気づくか?
- **変化後の姿**: 最終的にどう変わるか?