概要
シネクティクス(Synectics)は、ウィリアム・J・ゴードンが開発した、類推(アナロジー)を用いた集団発想法です。「一見関係のないものを結びつける」という意味のギリシャ語に由来します。比喩や類推を使って問題を捉え直し、創造的な解決策を導き出します。
いつ使うか
- 難解な問題を根本的に解決したい時
- 既存の枠組みを打破する革新的なアイデアが必要な時
- 専門外の知識を応用したい時
説明
4つの類推(アナロジー)
シネクティクスでは、主に以下の4種類のアナロジーを使用します。
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直接的類推(Direct Analogy)
- テーマと似ているものを、自然界や他の分野から探します。
- 例:飛行機の機体を設計するために「鳥」や「魚」の構造を参考にする。
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擬人的類推(Personal Analogy)
- 自分がその「モノ」や「問題そのもの」になりきって考えます。
- 例:自分が車のエンジンになったつもりで、どこが苦しいか、どう動きたいかを感じる。
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象徴的類推(Symbolic Analogy)
- 問題の本質を、詩的で矛盾した言葉(オクシモロン)や短いフレーズで表現します。
- 例:ブレーキの機能を「信頼できる抵抗」や「安全な摩擦」と表現する。
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空想的類推(Fantasy Analogy)
- 物理法則を無視した、魔法やSFのような空想の世界で解決策を考えます。
- 例:重力がなかったらどうなるか?魔法の杖があったらどうするか?
実施手順
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問題の提示
- 解決すべき問題を定義します。
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初期アイデア出し
- まず常識的な解決策を出し尽くします。
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問題の異質化
- 4つの類推を使って、問題を全く別の視点から捉え直します。
- 「この問題は自然界でいうと何に似ているか?」などを議論します。
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解決策の具体化
- 類推から得られたヒントを、現実的な解決策に落とし込みます。
使用例
例:ポテトチップスの割れを防ぐ容器の開発
課題:袋に入れると割れやすく、かさばる。
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直接的類推
- 自然界で「薄いものがきれいに重なっている」ものは?
- → 「落ち葉」は乾燥して割れやすいが、湿っているときは重なる。
- → 「花びら」や「松ぼっくり」。
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解決策への適用
- 落ち葉のようにバラバラに入れるのではなく、同じ形にしてきれいに重ねれば割れないのではないか?
- → 成型ポテトチップス(プリングルズなど)の筒型容器のアイデアへ。
AI活用
AIにアナロジー思考を行わせるプロンプトです。
プロンプト例
# 命令書
以下の課題について、シネクティクスの4つの類推を用いてヒントを探してください。
# 課題
[ここに課題を入力:例:満員電車のストレスを減らす方法]
# 手順
1. **直接的類推**:自然界や他の機械で似た現象を探してください。
2. **擬人的類推**:あなたが「満員電車そのもの」あるいは「挟まれた乗客」になったつもりで語ってください。
3. **象徴的類推**:この課題を象徴する詩的なキーワード(矛盾を含んでも良い)を作ってください。
4. **空想的類推**:魔法が使えるならどう解決するか考えてください。
5. 上記のヒントから、現実的な解決策のアイデアを1つ提案してください。