概要
KJ法(KJ Method)は、文化人類学者の川喜田二郎(Kawakita Jiro)が考案した情報整理・発想技法です。断片的なデータやアイデアをカードに書き出し、グループ化して図解・文章化することで、全体像を把握し、新しい課題や解決策を発見します。
いつ使うか
- ブレインストーミングで出た大量のアイデアを整理したい時
- 複雑な問題の構造を明らかにしたい時
- チームの合意形成を図りたい時
- 混沌とした状況から本質を見つけ出したい時
説明
基本ルール / 特徴
KJ法は単なる分類整理法ではなく、創造的な問題解決の手法です。
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データ重視
- 先入観を持たず、事実や生の声(データ)を出発点とします。
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ボトムアップ
- 既存の枠組みに当てはめるのではなく、データ同士の親和性(親しさ)に基づいてグループを作っていきます。
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統合と構造化
- グループ化したものに表札(見出し)をつけ、関係性を図解し、最終的に文章化することで論理を構築します。
実施手順
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準備
- 参加者: 1人〜複数人
- 時間: 1〜3時間程度(簡易版の場合)
- 必要なもの: カード(または付箋)、ペン、模造紙(またはホワイトボード)
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ステップ1:カード作成(ラベル作り)
- アイデアや事実を1枚のカードに1つずつ書き出します。
- 文章で具体的に記述するのがポイントです(単語だけだと意味が通じなくなるため)。
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ステップ2:グループ化(ラベル集め)
- カードを広げ、内容が似ているもの、親和性のあるものを集めて小グループを作ります。
- 分類できないカードは無理に入れず「離れ猿」として残します。
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ステップ3:表札作り(名札作り)
- 各グループの内容を要約した「表札(タイトル)」をつけ、重ねてクリップなどでまとめます。
- さらに小グループ同士を集めて中グループ、大グループへと階層化していきます。
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ステップ4:図解化(A型図解)
- 模造紙にグループを配置し、関係性を線や矢印で結んで構造化します。
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ステップ5:叙述化(B型叙述)
- 図解を見ながら、全体のストーリーを文章化します。これにより理解が深まります。
使用例
例:業務改善の課題整理
テーマ:「なぜ残業が減らないのか」
実施
- チーム全員で理由を付箋に書き出し(「会議が長い」「突発的な依頼が多い」「承認フローが遅い」など50枚)。
- 似たものを集めてグループ化。
結果(表札)
- 「会議の効率化不足」
- 「他部署との連携不備」
- 「個人のスキル不足」
- 「管理職のマネジメント不足」
図解化
- 「他部署との連携不備」が「突発的な依頼」を生み、それが「会議の効率化不足」と相まって時間を圧迫している構造が判明。
AI活用
プロンプト例
# 命令書
以下の[アイデアリスト]について、KJ法の手順でグルーピングを行ってください。
# 手順
1. 内容が近いアイデア同士を集めてグループを作ってください。
2. 各グループの内容を的確に表す「表札(見出し)」をつけてください。
3. 表札は抽象的な言葉ではなく、具体的な内容がわかる文章にしてください。
4. グループ間の関係性(原因と結果、対立、包含など)があれば指摘してください。
# アイデアリスト
[ここにアイデアやテキストデータを貼り付け]