概要
エンパシーマップ(Empathy Map / 共感マップ)は、ターゲットユーザー(ペルソナ)の視点に立ち、その人が何を見て、聞いて、考え、感じているかを整理するフレームワークです。ユーザーへの「共感(エンパシー)」を深め、表面的なニーズの裏にある深層心理やインサイト(洞察)を発見するために使われます。
いつ使うか
- ペルソナを作成・深掘りしたい時
- ユーザーインタビューの結果を整理したい時
- チーム全員で「ユーザー視点」になりきりたい時
説明
6つのエリア
ユーザーの顔を中心に描き、以下の要素を書き込みます。
- 見ているもの(See): 環境、友人、市場のオファーなど、視覚的情報。
- 聞いているもの(Hear): 友人、上司、インフルエンサーの発言など、聴覚的情報。
- 言っていること・していること(Say & Do): 公言していること、実際の行動、振る舞い。
- 考えていること・感じていること(Think & Feel): 本音、悩み、夢。(※ここが最も重要)
- 痛み(Pain): 恐れ、フラストレーション、障害。
- 利得(Gain): 欲しいもの、成功のイメージ。
実施手順
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ターゲットの設定
- 具体的なユーザー像を1人決めます。
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セクションを埋める
- 「彼女の周りには何が見えている?」「友達から何を言われている?」と問いかけながら付箋を貼っていきます。
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矛盾を探す
- 「言っていること(建前)」と「考えていること(本音)」のズレに注目します。そこにイノベーションのヒントがあります。
- 例:「健康が大事」と言いながら(Say)、深夜にラーメンを食べている(Do)。
使用例
例:ジム通いが続かない人
- See: インスタで鍛え抜かれたモデルの写真。鏡に映るたるんだ自分。
- Hear: 「最近太った?」という同僚の声。「夏までに痩せよう」という広告。
- Say & Do: 「明日から走る」と宣言。高いウェアを買う。3日でやめる。
- Think & Feel:
- Pain: 運動は苦しい。恥ずかしい。時間がない。
- Gain: モテたい。健康診断で褒められたい。
- インサイト: 「運動したい」のではなく「運動している自分を認められたい(承認欲求)」が強いのでは? → 運動記録をSNSに自動投稿する機能の提案。
AI活用
AIにペルソナになりきらせて、エンパシーマップの要素を出力させるプロンプトです。
プロンプト例
# 命令書
あなたは「[ターゲット設定]」です。以下の質問に答えて、あなたの内面を教えてください(エンパシーマップの作成)。
1. 普段あなたの周りにはどんな光景が見えますか?(See)
2. 周囲の人からどんなことを言われますか?(Hear)
3. 建前として何を言ったり、どんな行動をしますか?(Say & Do)
4. でも、心の中では本当は何を考え、何に悩み、何を望んでいますか?(Think & Feel)