概要
拡散思考(Divergent Thinking)と収束思考(Convergent Thinking)は、アイデア発想プロセスの基本となる2つのエンジンのようなものです。これらを明確に分けて行うことが、創造的な活動の鉄則です。
- 拡散思考: 可能性を広げ、自由奔放にたくさんのアイデアを出すフェーズ。
- 収束思考: 出たアイデアを整理、評価、絞り込み、具体化するフェーズ。
いつ使うか
- ブレインストーミングなどの発想会議全体を通じて。
- 「今は広げる時間」「今はまとめる時間」と意識を切り替えたい時。
説明
2つのモードの違い
| 特徴 | 拡散思考(広げる) | 収束思考(まとめる) |
|---|---|---|
| 目的 | 量を出す、可能性を探る | 質を高める、現実解を選ぶ |
| 心構え | 判断遅延(批判禁止)、自由奔放 | 論理的、分析的、現実的 |
| ツール | ブレインストーミング、マインドマップ、SCAMPER | KJ法、マトリクス法、評価シート |
| アクセル/ブレーキ | アクセル全開 | ブレーキとハンドル操作 |
統合のルール(ダイヤモンド・モデル)
発想プロセスは、この2つを繰り返すことで進みます(菱形のように開いて閉じる)。
- 課題の定義:課題について広く考え(拡散)、真の課題を絞り込む(収束)。
- 解決策の発想:解決案を大量に出し(拡散)、ベストな案を選ぶ(収束)。
最大の失敗は、この2つを同時にやろうとすることです。「アクセルを踏みながらブレーキを踏む」ことになり、車(思考)は動きません。アイデア出しの最中に「それは予算的に無理だ」と批判するのはご法度です。
使用例
会議の進行
- 前半(拡散): 「今の時間は批判禁止です。とにかく数を出すことを目指しましょう」と宣言し、ブレインストーミングを行う。
- 休憩: モードを切り替える。
- 後半(収束): 「では、ここからは現実的な視点で絞り込んでいきましょう」と宣言し、ドット投票(シール貼り)などで有望な案を選ぶ。
AI活用
AIにモードを指定して出力させるプロンプトです。
プロンプト例
# 命令書
以下のテーマについて、まずは「拡散思考」モードで質より量を重視してアイデアを20個出してください。非現実的なものでも構いません。
# テーマ
[ここにテーマを入力]
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(出力後)
次は「収束思考」モードで、先ほどの20個の中から実現可能性と効果が高いものを3つ選び、その理由を述べてください。