概要
デザイン思考(Design Thinking)は、デザイナーがデザインを行う際の思考プロセスを、ビジネスや社会問題の解決に応用したイノベーション手法です。ユーザーへの「共感」を出発点とし、人間中心(Human-Centered)で問題を解決することを重視します。
いつ使うか
- ユーザーにとって本当に価値のあるものを作りたい時
- 明確な答えのない複雑な問題(厄介な問題)に取り組む時
- イノベーションを起こしたい時
説明
5つのプロセス(スタンフォード大学 d.school版)
デザイン思考は以下の5段階を行き来しながら進めます。
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共感(Empathize)
- ユーザーを観察し、インタビューし、体験することで、ユーザーのニーズや感情を深く理解します。
- ツール:エンパシーマップ、ユーザージャーニーマップ
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定義(Define)
- 共感で得た情報から、ユーザーが抱える「真の課題」を定義します。「誰の、どんな課題を解決するのか」を明確にします。
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概念化(Ideate)
- 定義した課題に対する解決策のアイデアを大量に出します。質より量を重視します。
- ツール:ブレインストーミング、SCAMPER法
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試作(Prototype)
- アイデアを形にします。時間をかけず、紙や廃材で簡単な試作品(プロトタイプ)を作ります。思考を可視化することが目的です。
- ツール:プロトタイピング
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テスト(Test)
- プロトタイプをユーザーに使ってもらい、フィードバックを得ます。失敗から学び、前のプロセスに戻って修正します。
マインドセット
- 人間中心: 技術やビジネス要件より、まず人の悩みを見る。
- 素早く失敗する(Fail Fast): 早く失敗して、早く学ぶ。
- 手を動かして考える: 議論より試作。
使用例
例:高齢者向けの配食サービス
- 共感: 高齢者の自宅を訪問。弁当の蓋が開けにくくて困っている様子や、配達員との会話を楽しみにしている様子を観察。
- 定義: 課題は「食事の提供」だけでなく「孤立感の解消」と「身体機能への配慮」にあると定義。
- 概念化: 「蓋が開けやすい容器」「配達員が5分話し相手になるオプション」「交換日記付き弁当」などのアイデアを出す。
- 試作: ダンボールで容器の模型を作り、交換日記のラフを書く。
- テスト: 実際に高齢者に模型を触ってもらい、日記を見せる。「日記は書くのが面倒」という反応を得て、スタンプ式に修正する。
AI活用
AIにデザイン思考のプロセスをファシリテートさせるプロンプトです。
プロンプト例
# 命令書
以下の課題について、デザイン思考のプロセス(共感→定義→概念化)に沿って検討を進めたいです。まずは「共感」のステップとして、どのようなユーザー調査を行うべきかアドバイスしてください。
# 課題
[ここに課題を入力]